37.2

生きてた証拠. HSP 躁鬱

あの子が死んじゃった。

屋上から飛び降りて地面にその柔らかくて白い身体を打ち付けて、身体はぐちゃぐちゃになって腕なんてもげてどこかに飛んでいっちゃったらしい。

 

全部あたしのものになるつもりだったのに。

きみの死体は数え切れない数の人のスマートフォンで撮られて、SNSの海で格好の餌食になっている。

 

見ないで、あの子を勝手にコンテンツとして消費しないで。汚い汚い汚い…

 

あの子の喉からでる声は透き通るような声で、あの子の髪は真っ黒で一本一本が綺麗で人形の髪のようだった。

あの子の身体は白くて陶器みたいだった。

スカートから見える華奢な脚。

唇は淡いピンク色で鼻筋が通っていて。

睫毛は長くてぱっちりとした二重の目。

 

全てあたしのものにしたかった。

でもできなかった。

あの子はいつだって――に夢中で

あたしのことなんて目に求めていなかったもの。

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7月6日。

――を殺した。

あの子を夢中にさせるような――になりたくて。身体の中に取り込めば少しはこいつのようになれるかな。そう思って――を食べた。予想通り鉄の味がして美味しくなかった。

 

 

でもあの子は結局あたしに目を向けてくれなかった。どうしてなんだろう。あたしはこんなにもあの子のこと好きなのに。

気づいたらあたしはあの子を突き落としていた。こうすればあの子はずっとずっとあたしのもの。そう思ってた。

 

でも今、あの子はあたしだけのものにならずにSNSで食い物にされている。突き落とす場所が悪かったな…え?そういう問題じゃない?どういうこと?